2025.11.11
運送業界
業務(乗務)後自動点呼とは?メリットや注意点、導入手順を解説

業務後自動点呼(乗務後自動点呼)とは、運転者が乗務を終えた後に、対面ではなく機器を使って自動で点呼を行う仕組みです。
アルコール検知器やカメラ付き端末を活用し、健康状態や酒気帯びの有無を記録・保存することで、業務の効率化と安全管理の強化を両立できます。
国土交通省が定める要件(道路運送法第38条および国土交通省「乗務後自動点呼実施要領」)を満たした機器の導入が義務付けられており、運行管理者の負担軽減にもつながる点が注目されています。
今回の記事では、業務後自動点呼導入の流れや、必要な要件について丁寧に解説します。
目次
自動点呼とは?
自動点呼とは、運転者が乗務を終えた際に、対面ではなく機器を通じて健康状態や飲酒の有無を確認する点呼方法です。
国土交通省が定めた性能要件(静止画・動画記録・通信暗号化等)を満たすアルコール検知器やカメラ付き端末を活用し、運転者が自身で操作することで、点呼記録が自動的に保存されます。
運行管理者はリアルタイムで映像や数値を確認でき、異常があれば即座に対応可能です。国土交通省の認定を受けたシステムを使用する必要があり、記録の保存や管理体制も厳格に求められます。
これにより、人的ミスの防止や業務効率化が図られています。
業務後自動点呼について
業務後自動点呼は、乗務を終えた運転者が対面せずに機器を使って点呼を行う方法です。
主に以下の情報が自動で記録・保存され、運行管理者が遠隔で確認できます。
- ・アルコール検知器による酒気帯びの有無
- ・カメラによる本人確認と顔映像の記録
- ・健康状態や業務中の異常の有無の申告
国土交通省の認定を受けたシステムであることが必須で、記録の保存期間や管理体制にも厳しい基準が設けられています。
業務後自動点呼実施要領の概要
こちらでは、国土交通省の資料を元に、業務後自動点呼実施要領の概要について解説していきます
業務後自動点呼に関する基本要件
| ① | 運転者の酒気帯びの状況に関する測定結果および運転者が測定を行っている様子の静止画又は動画を、自動的に記録及び保存すること |
| ② | 自動車、道路及び運行の状況、交替運転者に対する通告、その他の事項について、運転者が口頭で報告し、当該報告内容を電磁的方法により記録すること。また、運転者が口頭で報告を行うにあたり、対話形式で報告を行う機能を備えることが望ましい |
| ③ | 運行管理者等が伝えるべき指示事項を、運転者毎に伝達する機能を備えること |
| ④ | 運転者毎の点呼の実施予定・実施結果を、運行管理者等が確認できる機能を備えること |
なりすましの防止
| ① | 事前に登録された運転者以外の者が点呼を受けられないように個人を確実に識別できる生体認証機能(顔認証、静脈認証、虹彩認証等)を有すること |
| ② | 酒気帯びの状況に関する測定時には、点呼を受ける運転者以外の者が測定できないように個人を確実に識別できる生体認証機能(顔認証、静脈認証、虹彩認証等)を有すること |
運行管理者の対応が必要となる際の警報・通知
| ① | 運転者の酒気帯びが検知された場合には、運行管理者等が気付くように警報、通知を発した上で、点呼を完了させないこと |
| ② | 運転者毎に点呼を実施する予定時刻を設定することができ、予定時刻から一定時間を経過しても点呼が完了しない場合には、運行管理者等が気付くように警報、通知を発すること |
| ③ | 自己診断機能を備え、故障が発生した場合には故障個所、故障内容を表示するとともに、運行管理者等が気付くように警報、通知を発した上で、当該故障が解消されるまで点呼を実施できないようにすること |
点呼結果、機器故障時の記録
| ① |
点呼を受けた運転者ごとに、次に掲げる点呼結果を電磁的方法により記録し、かつその記録を1年間保持できること (1)当該点呼に責任を持つ運行管理者等の氏名及び点呼を受けた運転者の氏名 (2)運転者の乗務に係る事業用自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等 (3)点呼日時 (4)点呼方法 (5)アルコール検知器の測定結果及び酒気帯びの確認結果 (6)アルコール検知器の使用時の静止画又は動画 (7)運転者が点呼を行っている様子の静止画又は動画 (8)自動車、道路及び運行の状況 (9)交替運転者に対する通告 (10)その他必要な事項 |
| ② | 当該機器の故障が発生した際、故障発生日、時刻、故障内容を電磁的方法により記録し、その記録を1年間保持できること |
| ③ | 電磁的方法にて記録された点呼結果、機器の故障記録の修正ができないこと。又は修正をした場合であっても修正前の情報が残り消去できないこと |
| ④ | 電磁的方法にて記録された点呼結果、機器の故障記録を出力できること。出力について機器・システムで保存された内部形式のまま大量一括に、CSV形式の電磁的記録として出力できること |
施設・環境要件
| ① | なりすまし等の不正の防止及び所定の場所以外で乗務後自動点呼が実施されることを防止するため、運転者が乗務後自動点呼を実施する様子を運行管理者等が随時確認できるように監視カメラ等が適切に設置されていること |
事業者、運行管理者等に係る遵守事項
| ① | 事業者は、乗務後自動点呼の運用に関し必要な事項について、あらかじめ運行管理規程に明記するとともに、運転者、運行管理者等及びその他の関係者に周知すること |
| ② | 事業者は、乗務後自動点呼に用いる機器を常時有効に保持すること。常時有効に保持とは、正常に動作し、故障がない状態で保持しておくことをいう。このため、機器の製作者が定めた取扱に基づき、適切に使用、管理及び保守するとともに、定期的に故障の有無を確認し、故障がないものを使用しなければならない |
| ③ | 事業者は、所定の場所以外で乗務後自動点呼が行われるのを防止するため、乗務後自動点呼に用いる機器を持ち出されないように措置を講じること |
| ④ | 乗務後自動点呼の運用に伴う責任は事業者、運行管理者等が負うことから、機器の使用方法等について運転者、運行管理者等及びその他の関係者が適切に使用できるように教育体制を整備すること |
| ⑤ | 運行管理者等は、各運転者の乗務後自動点呼の実施予定・実施結果を適切に確認し、点呼の未実施を防止すること |
| ⑥ | 運行管理者等は、各運転者に必要な指示を適切に行うこと |
| ⑦ | 運行管理者等は、各運転者に必要な指導を適切に行うこと |
| ⑧ | 事業者は、運転者が携行品を確実に返却したことを確認できる体制を整備すること |
非常時の対応
| ① | 酒気帯びが検知された場合には、運行管理者等が適切な措置を講じることができる体制を整備すること |
| ② | 緊急を要する報告については、運転者から運行管理者等に適切に報告できる体制を整備すること |
| ③ | 当該機器の故障等で乗務後自動点呼の実施が困難になった場合は、当該営業所で実施が認められている点呼を実施できる体制を整備すること |
個人情報管理に係る事項
| ① | 運転者の認証機能に必要な生体情報等、個人情報を扱う場合には、事業者が対象者から同意を得ること |
出典:乗務後自動点呼の要件とりまとめについて|国土交通省
業務後自動点呼のメリット
業務後自動点呼は、運転者が端末を操作するだけで点呼が完了するため、業務の効率化に大きく貢献します。
顔認証やアルコール検査の結果が自動で記録されることで、確認漏れや記録ミスを防ぎ、点呼の確実性が高まります。
また、運行管理者は複数拠点の点呼を遠隔で一括管理できるため、夜間や休日の対応も柔軟になり、人的負担が軽減されます。
これにより、安全管理と業務効率の両立が可能になります。
業務後自動点呼の注意点
業務後自動点呼を導入する際は、初期費用や運用体制に注意が必要です。専用機器の購入や設置、国土交通省の認定取得には一定のコストがかかります。
また、点呼記録の保存・管理体制を整える必要があります。そのため、運行管理者がシステムの操作や確認業務に慣れるまで、時間を要するケースも考えられるでしょう。
さらに、機器の故障や通信トラブル時の対応手順も事前に確立しておくことが求められます。
業務後自動点呼・導入の流れ
業務後自動点呼を導入したい場合は、次の手順で行います。
- ①:業務後自動点呼を導入する場所の決定
- ②:自動点呼認定機器の中から機種を決める
- ③:運輸支局に届け出をする
①:業務後自動点呼を導入する場所の決定
業務後自動点呼を導入する際は、機器の設置場所を慎重に選ぶ必要があります。
運転者が乗務終了後に必ず立ち寄る場所であること、静かで映像や音声が正確に記録できる環境であることが重要です。
事務所内や車庫の出入口付近など、動線を考慮した配置が求められます。
②:自動点呼認定機器の中から機種を決める
業務後自動点呼を導入するには、国土交通省が認定した機器の中から自社の運用に合った機種を選定する必要があります。
機種を選ぶ際は、設置スペースや操作性、記録の保存方法、遠隔確認の対応可否などを比較検討し、運行管理体制に適した機種を選ぶのがポイントです。
令和7年10月時点で認定を受けている自動点呼機器については、国土交通省の資料を参考にしてください。
出典:認定を受けた業務後自動点呼機器一覧|国土交通省
③:運輸支局に届け出をする
業務後自動点呼を実施するには、国土交通省が定める基準を満たした機器を導入したうえで、所管の運輸支局へ事前に届け出が必要です。営業所単位での届け出が必要であり、同一事業者内でも営業所ごとに審査が行われます。
申請には、使用機器の仕様書や運行管理体制の説明資料などを添付し、審査を受ける流れとなります。認定を受けることで、正式に自動点呼の運用が可能になります。
まとめ
業務後自動点呼(乗務後自動点呼)は、点呼業務の自動化により、運転者の健康確認や酒気帯びの有無を確実に記録できる仕組みです。
国土交通省の要件を満たした機器を導入することで、業務の効率化と安全管理の向上が実現します。





