2022.04.28

危機管理

自動運転でも飲酒はNG! 求められるドライバーの責任と判断

目次

日本政府は2025年を目処に、高速道路における完全自動運転の実現を目標として掲げています。
現在の自動運転技術は発展途上にあり、現行の自動運転においてドライバーの飲酒はできません。

この記事では、自動運転中のドライバーに求められる責任や、判断について解説します。

自動運転とは

自動運転とは、「自動運行装置(システム)」と呼ばれる技術です。ドライバーが行っている自動車操縦を、専用の自立型運行システムによって代行する運転技術を指します。

「認識・判断・予測・操作」を実行する機能を有し、円滑な車両操作を実現します。自動運転の対象は自動車のみに留まらず、様々な乗り物に導入が期待されている国際基準の次世代型最新技術です。

自動車における完全自動運転が達成されることで、アクセルやブレーキはもちろん、すべての運転操作は自動化されることになります。

日本政府は、高度自動運転の実現に向け積極的に技術開発を推進しています。自動運転が推進される理由には、実現されることによって期待される様々な効果が関係しています。

自動運転実現によって想定される効果例

交通事故の低減効果

国内で発生する交通事故の多くは、ドライバーによる人為的違反行為に起因しています。自動運転が実現することにより、人為的な交通事故を大幅に軽減する効果が期待できます。

少子高齢化対策

進行する少子高齢化により、自動車運送事業に従事する労働者の高齢化や、人員不足は深刻な問題です。自動運転が浸透することで、ドライバーの負担を軽減することが可能です。

交通渋滞の緩和

自動運転は、最適な車線やルートを選択することができます。スムーズな車両操作により、渋滞緩和を実現できます。

高齢者の移動支援・事故防止

運転が困難になった高齢者による移動支援や、運転ミスによる事故防止に需要が期待されています。

〈参考〉自動運転の実現に向けた国土交通省の取り組み

現行の自動運転レベルで飲酒はできない

自動運転において飲酒ができない理由には、国土交通省が制定している自動運転車の定義が関係しています。自動運転には、実用化に伴う実現可能な範囲について、いくつかの段階(技術レベル)が制定されています。

自動運転車の定義

           ドライバーによる監視(ドライバー主体)

レベル1「運転支援」

自動運転システムによる前後・左右いずれかの車両制御を実現

 

システム自動ブレーキや先行車に対する追従機能、車線からはみ出さない自動走行など、限定的な範囲内における自動化を達成

レベル2「高度な運転支援」

自動運転システムによる前後及び左右の車両制御を実現

 

車線維持や合流、先行車追従、自動追い越し機能など、レベル1と比較し、より高度な自動化を達成

          自動運転システムによる監視(システム主体)

レベル3「※特定条件下における自動運転」

高速道路や晴天時など、可能な条件下における自動運転を実現

 

基本的な車両操作はシステムが実施。状況に合わせてドライバーが随時対応する

レベル4「特定条件下における完全自動運転」

高速道路や晴天時など、可能な条件下における完全な自動運転を実現

 

特定条件下における車両操作のすべてを、自動運転システムが達成

レベル5「完全自動運転」

すべての状況下において、完全な自動運転を実現

※特定条件下(自動運転可能な条件下は搭載システムによって異なる。また、システム自体の不具合も特定条件下に含まれる)

現行の自動運転レベルと飲酒について

自動運転システムの技術向上に際し、道路交通法が改正されています。2020年4月に施行された法律によって規定された自動運転システムは、現在までの法改正により公道を走行することが可能です。

国内では、2021年3月に「レベル3(特定条件下における自動運転)」を可能にした車両が、世界に先駆けて販売されています。

現在の道路交通法では、自動運転システムによる走行も「運転」と定義されています。すでに実用化されているレベル3の自動運転システムでは、状況に合わせてドライバーが対応しなければならない範囲が残存しています。

ドライバーが運転しなければならない状況が有る限り、自動運転であっても飲酒や居眠りなどをすることはできません。自動運転中のドライバーに制約がなくなるのは、完全な自動運転が実現できた場合かもしれません。

〈参考〉自動運転車の定義及び政府目標

ドライバーの責任

現在の道路交通法(2020年4月施行の改正法)は運転技術の向上を踏まえ、自動運転と手動運転双方の状況を加味した法整備に変化しています。自動運転システムを搭載した車両を運転する際には、ドライバーの責任について正しい認識が必要です。

手動運転ができる状態を維持しなければならない

上述の通り、現在公道を走っている自動運転レベル3の車両において、飲酒や居眠り運転は違反であり認められていません。

飲酒や居眠りのように、ドライバー自身の体調を左右する状態では、緊急時の手動運転に支障をきたすためです。

自動運転の記録及び保存

自動運転と手動運転が両立する段階においては、事故や違反時における責任の所在を明確にする措置が必要です。改正法では、自動運転車に対するシステム作業状況の記録及び保存、また、ドライバーに対して有事の際の情報提示責任が義務づけられています。

自動運転中にできること

現行法では、自動運転システムを搭載した車両について、新たな規定の整備がされています。ドライバーが迅速に対応できることを条件とした上で、スマートフォン(携帯電話)等の使用が可能になりました。

自動運転中のドライバーに課せられる制約は、これからも軽減していくでしょう。しかし、緊急時などに手動運転が必要な現状では、通常運転と同様の責任が発生することを忘れてはいけません。

〈参考〉道路交通法の一部を改正する法律

まとめ

国内では2022年の4月に、自動運転レベル4(特定条件下における完全自動運転)を見越した道路交通法改正案が成立しました。今後、自動運転システムの発展と浸透に伴い、さらなる法改正が行われる可能性があります。自動運転と手動運転が混在する社会の中、ドライバーに課せられた運転責任は重大です。

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