2023.10.31

運送業界

大型免許取得に必要な「深視力検査」とは?検査内容や合格のコツについて

大型免許を取得・更新するために必要な「深視力検査」をご存知でしょうか? 大型自動車を運転するためには、予め決められた数値に基づいた深視力検査に合格しなければなりません。

この記事では、深視力検査の内容や合格のコツ、不合格になった際の対処方法などについて解説します。

目次

大型免許取得に必要な身体条件

大型免許の取得には、義務付けられている身体条件があります。具体的な条件は以下の通りです。
 

  • ●深視力(三桿法検査の誤差が平均2cm以下)
  • ●両目の視力0.8以上、片目の視力0.5以上(裸眼以外も可)
  • ●赤・青・黄の3色の判別
  • ●10m先から90dBの警報器音が聞き取れる
  • ●運転に影響のある身体障害がない

深視力とは

上述の条件のうち、深視力という表現に馴染みがない方も多いかもしれません。深視力とは、遠近感や立体感を判断する視覚能力を指す表現です。
 
左右の目は、大きさや位置によって微妙なズレが生じています。左右それぞれの目で見ている映像のズレを修正し、一つのものとして捉える際に発揮される力が深視力です。
 
人間の目は、左右のズレを調整し、一つの映像として処理する際に遠近感や立体感を獲得します。深視力は、現実世界の物体の状態を正確に認識するために、欠かせない能力なのです。

運転時における深視力の重要性

自動車の運転時において、正確な遠近感や立体感の認識は必要不可欠な能力です。運転者は深視力を駆使することで、対象(歩行者や対向車、建築物など)までの位置関係や状況を把握することができます。
 
大型自動車は車両のサイズが大きく、乗用車や軽自動車に比べて遠近感や立体感をより正確に捉える能力が求められます。運転中の事故やトラブルを回避するためには、基準以上の深視力の保持が求められます。

深視力検査の概要

深視力検査は特定の免許取得・更新時に必要です。

深視力検査が必要な運転免許一覧

大型自動車免許 車両総重量11t以上の車両
中型自動車免許 車両総重量11t未満の車両
準中型自動車免許 車両総重量7.5t未満の車両
けん引免許 自力走行できない車両をけん引する車両
第二種運転免許 旅客運送契約に基づいた旅客運送車両

検査内容

検査は、深視力を測るための専用機器を用いて行われます。箱状の検査機の内部を覗き、受講者の深視力(対象物を立体的に捉えられる能力や遠近感の有無など)を検査します。

検査方法

検査には「三桿法(さんかんほう)」と呼ばれる手法が用いられています。
 
検査手順

  1. 1.検査機内部に横一列に並んだ3本の棒が映し出される
  2. 2.真ん中の1本が前後に移動する
  3. 3.3本の棒が一列に並んだ時にスイッチを押す

合格の基準

測定検査は3回行われます。棒の位置の誤差が平均2cm以下であることが、合格条件となります。

検査前に準備すべきこと

深視力検査は、免許取得のために必須の検査です。検査に合格しなければ、免許を取得することはできません。
 
しかし、自分自身の深視力を自覚している方は少ないでしょう。そんな時は、事前に検査の準備をしましょう。以下に、深視力検査の合格率を高めるために効果的な内容をまとめました。

眼科や眼鏡店で深視力検査を受けてみる

三桿法検査は、眼科や眼鏡店で受けることができます。予め自身の深視力を知りたい方や、ぶっつけ本番検査に不安がある方は、検査前に練習しておくと良いでしょう。一度検査を体験しておけば、本番での合格率がアップするかもしれません。
 
ただし、眼科や眼鏡店を利用する際には検査料金に留意が必要です。金額や受診条件は異なるものの、多くの眼科や眼鏡屋では検査費用が発生します。検査を検討している場合には、事前に費用を確認しておきましょう。

目の疲労を取っておく

検査前には、目の疲労を取り除いておきましょう。スマホやパソコンの長時間使用など、目に負担のかかる行動を避け、疲労を回復してください。
 
眼精疲労の回復には、蒸しタオルやホットアイマスクの使用が効果的です。また、目の周りの筋肉をほぐすストレッチや、ツボマッサージなども良いでしょう。

眼鏡やコンタクトの度数を確認しておく

自身の目に合っていない眼鏡屋コンタクトの使用は、三桿法検査に悪影響を及ぼす可能性があります。日常的に眼鏡やコンタクトを使用している方は、検査前に度数やフィッティングを確認しておきましょう。

検査が不合格だった場合には

深視力検査に合格しなければ、免許の取得・更新はできません。ただし、一度検査に落ちたからといって心配する必要はありません。
 
深視力検査は複数回受けることができ、当日(間隔を開けて再検査する)や後日の再検査が認められています。検査に通らなかった場合には改めてコンディションを整え、万全な状態で再検査に臨みましょう。

まとめ

大型免許の取得・更新時には、深視力検査に合格しなければなりません。深視力の維持は、大型自動車の運転者に欠かせない条件の一つです。検査内容に少しでも不安がある場合には、然るべき準備を整え、万全の状態で臨みましょう。

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