2024.04.19

飲酒対策

船舶における飲酒運転は違法?法律や罰則について解説

    厳罰化が進む飲酒運転。違反者には法律による制裁が課せられます。

    人やものを乗せて水上を渡航する船舶にも、法律で定められた飲酒運転規定があります。この記事では、船舶の飲酒運転に関する法律について解説します。

    目次

    船舶における飲酒運転は違法

    船舶における飲酒を伴う運転作業は違法です。

    船舶の飲酒に関わる法律は、船員法や船舶運航事業関係法(海上運送法・内航海運業法)、及び国土交通省が策定した安全マネジメント制度に基づき施行されています。

    船員法及び海上運送法・内航海運業法とは

    海運分野において、飲酒規制に関する内容が明記された法律です。
     
    • ●船員法:船員として国土交通省の定める国内外の船舶に乗り込む船員の労働などを定めた法律
       
    • ●海上運送法:海上運送利用者の利益の保護と、海上運送事業の健全な発達に関する法律
       
    • ●内航海運業法:内航(国内)運送の適確な運営と健全な発達に関する法律

    安全マネジメント制度とは

    国土交通省により海上交通の安全を図るために設けられた制度です。飲酒関連の内容は、既存の法律に基づき以下の対策を講じています。
     
    • ●海上運送法及び内航海運業法に基づき、呼気1リットル中に一定のアルコール濃度が認められた状態における当直禁止。違反は処分対象
       
    • ●船員法に基づく酒気帯び状態での当直禁止の違反について上記の内容に準じて処分基準を策定
       
    • ●小型船舶においても酒酔い操縦の判定基準の一部強化

    安全マネジメント制度における飲酒規制

    船舶の飲酒規制に関して、安全マネジメント制度により施行されている対策の具体的内容を明記します。

    これらの規制に違反した場合には、船員に対して行政指導・処分(命令)が行われ、罰則が適用されることもあります。

    ①一般船舶の飲酒規制

    一般船舶とは、漁業に用いられる漁船や特殊船(軍艦など)以外の船舶であり、総トン数が20t以上の船舶です。

     

    具体的な飲酒規制内容

     
    • 海上運送法及び内航海運業法に基づき、運行事業者に安全管理規程の届出を求める。

      当該規程において、呼気1リットル中のアルコール濃度0.15mg以上の状態における当直の禁止を明示するように指導を強化すると共に、違反については安全確保命令の対象とする。
       
    • 船員法に基づいた酒気帯び状態での当直禁止に加え、対策推進のために呼気1リットル中のアルコール濃度0.15mg以上の違反については、上述の安全管理規程の基準と合わせて船員法の戒告の対象とする

    ②小型船舶の飲酒規制

    小型船舶とは、総トン数が20t未満の船舶です。

    小型船舶免許には以下の4種類が設けられており、免許により操縦できる船舶や範囲が異なります。

    具体的な飲酒規制内容


    酒酔い操縦の判定基準となる具体的な数字について、船舶がふくそう(1箇所に集中する・混み合った場所)する水域や、遊泳者などの付近を航行する場合には、呼気1リットル中0.5mg以上から0.15mg以上に引き下げる。

    〈参考〉国土交通省 海上交通における飲酒対策について

    改正船員法と船舶職員及び小型船舶操縦者法における飲酒規定

    2020年に改正された船員法と、2002年に改正された船舶職員及び小型船舶操縦者法に記載されている飲酒規制を明記します。

    以下の法律は、上述した内容と同様に遵守しなければならない法律です。

    船員法第3条の5

    船長は、航海当直をすべき職務を有する者に対し、酒気帯びの有無について確認を行うとともに、当該者が酒気を帯びていることを確認した場合には、当該者に航海当直を実施させてはならない

    船舶職員及び小型船舶操縦者法第23条の36

    小型船舶操縦者は、飲酒、薬物の影響やその他の理由により正常な操縦ができない恐れがある状態で小型船舶を操縦し、または、当該状態の者に小型船舶を操縦させてはならない

    船舶における飲酒運転の行政処分と罰則

    船舶職員及び小型船舶操縦者が、法律に明記された遵守事項に違反した場合には、以下の行政処分が科せられます。

    遵守事項違反点数

    行政処分の基準

    上述の違反点数が、以下の基準に達した者は、6ヶ月以内の業務停止、または戒告の行政処分が課せられます。

    罰則について

    小型船舶の飲酒操縦に関して、道路交通法のような全国一律の罰則は制定されていません。ただし、罰則が存在しないわけではなく、各地方自治体が独自に罰則を設けています。

    一例として、東京都は2018年の都条例の改正において、酒酔い及び酒気帯びによる船舶の操縦に罰則を設けました。茨城県では、罰金と懲役の内容を引き上げ、飲酒対策の強化に努めています。

    各都道府県独自の条例による罰則強化は、船舶における飲酒対策として有効な施策の一つです。

    〈参考〉国土交通省 海事 行政処分
     

    船舶の飲酒運転が問題となった背景

    車両の事故やトラブルに共通する原因には、以前からヒューマンエラーの存在が指摘されてきました。
     
    国内では、平成17年にヒューマンエラーに起因する事故やトラブル(フェリーの防波堤衝突事故や列車の脱線事故など)が多発した経緯があります。
     
    これらの事故を発端とし、国土交通省では運輸業界全体に跨がる安全マネジメント制度の導入を決定。海運分野においては、運輸事業者から現場までが一丸となった安全マネジメント体制の構築と実施に力を入れ始めました。
     
    平成17年中に実施された事故防止対策検討会を経て、翌年の18年より安全マネジメント制度が開始されています。

    船舶の飲酒規制の現状とこれから

    法律や制度の改正を経た現行の制度は、以前に比べて格段に飲酒対策の強化が進んでいます。海運企業では、飲酒教育の徹底や管理方針の策定など、飲酒撲滅に関して取り組んでいる企業が増加しています。

    飲酒教育内容の事例
     

    • アルコールに基礎知識
       
    • アルコールが業務に与える影響
       
    • 飲酒による事故例の共有
       
    • アルコール検知器の使用方法講義 など

    しかし、現状の制度における課題がないわけではありません。海運分野における飲酒を伴う不適切事案は、年に数件程度発生しており、乗組員の酩酊状態による大規模な衝突事故なども起こっています。

    2018年にグアムで発生したクルーズ船の接触事故では、乗組員の酒気帯び状態が確認されています。国内では、酒気帯び状態における当直が判明した事案や、勤務中の飲酒事案など、飲酒関連の不祥事は後を絶ちません。

    飲酒運転に関連する事故や事件に伴い、今後もさらなる法改正や厳罰化が想定できるでしょう。
     

    まとめ

    船舶における飲酒運転は禁止されています。違反者には法律に基づいた処罰が課せられます。船舶を操縦する際には、自動車と同様に飲酒は厳禁であることを肝に銘じておかなければなりません。

    この記事の執筆者

    中央自動車工業株式会社

    中央自動車工業株式会社は2002年からアルコール検知器「ソシアック」シリーズの製造販売を行っています。飲酒運転撲滅の実現を目指して、アルコール検知器「ソシアック」シリーズをはじめ自動車に関わる業務の効率化、安全管理のお役に立つ情報を発信しています。

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