更新日:2026.02.02

運送業界

物流業界の「2026年問題」とは?「2024年問題」との違い、影響や対策を解説

物流業界の「2026年問題」とは、2026年4月に施行される法改正により、特定荷主を中心とした荷主企業に物流効率化の義務が課される構造的な課題です。これは単なる用語の定義にとどまらず、業界全体の働き方や輸送体制、車両運用の見直しを迫る深刻な問題になります。

「2026年問題」に対抗するには、AIやIoTなどの技術活用、業界間連携、持続可能な対策が今後の鍵です。
今回の記事では、「2026年問題」の概要から変化や影響、課題点と対策について具体的に解説していきます。

目次

物流業界の「2026年問題」とは?「2024年問題」との違い

  2026年問題 2024年問題
規制の対象 運送事業者、トラックドライバー 特定荷主・特定連鎖化事業者
※年間9万トン以上輸送
規制の目的 働き方改革、労働環境の改善 サプライチェーン全体の効率化、持続可能化
規制の内容 物流効率化義務、CLO選任、貨物重量届出 労働時間の上限規制
参考:新物効法の施行について|国土交通省

物流業界の「2026年問題」とは、2026年4月から施工される「改正流通業務総合効率化法」によって、一定規模以上の荷主企業に物流効率化の義務が課される問題のことです。

「2024年問題」は「働き方改革関連法」の施行により、トラックドライバーの時間外労働が制限されることで生じる輸送力不足を指します。これは、主に運送事業者側の労働環境改善に焦点が当てられています。

一方で「2026年問題」は、物流の効率化を荷主側にも義務づける点が大きな違いです。

「改正流通業務総合効率化法」の改正により、特定荷主は物流改善計画の策定や、共同配送・モーダルシフトの推進など、物流全体の最適化に取り組む責任を負うことになります。

つまり「2024年問題」が〝運ぶ側〟の課題であるのに対し、「2026年問題」は〝出す側〟も含めた業界全体の構造改革を求めるものです。
 

「2026年問題」で物流業界にどんな変化や影響が出るのか?

「2026年問題」で物流業界に出る変化や影響は、主に次の3つが挙げられます。

  1. 1.貨物重量の届出義務
  2. 2.CLO(物流統括責任者)の選任
  3. 3.物流効率化の取り組み実施

貨物重量の届出義務

2026年問題に関連して、荷主に対して新たに「貨物重量の届出義務」が課されることです。
これにより、荷主がトラックに積載する貨物の重量を、事前に運送事業者へ正確に伝えることが義務付けられます。

これまでは、積載管理をドライバーの経験や現場判断に頼っていました。貨物重量の届出義務により、荷主側の責任として明確化することで、安全性の確保と業務の効率化を図る狙いがあります。

また、届出内容は記録として一定期間保存する必要があり、違反時には行政指導の対象となる可能性があるでしょう。そのため、荷主企業にとっては業務フローの見直しが求められます。

CLO(物流統括責任者)の選任

2026年問題への対応として、一定規模以上の荷主企業には「CLO(Chief Logistics Officer/物流統括責任者)」の選任が求められるようになります。CLOは社内の物流業務を統括し、運送事業者との連携や、物流改善計画の策定・実行を主導する役割を担います。

これまでは、物流管理が現場任せになりがちで、経営レベルの課題として位置づけられていました。CLOの選任により、企業全体での最適化が進むことが期待されています。

CLOの設置は、単なる役職の追加ではなく、荷主側が物流の責任主体として明確に関与する体制づくりの一環です。そのため、持続可能な物流体制の構築に向けた重要な一歩と言えます。

物流効率化の取り組み義務

物流効率化の義務により、一定規模以上の荷主企業は、荷待ち時間の削減や積載効率の向上に取り組まないといけません。

効率化の具体的な取り組みとしては、主に次の行動が挙げられます。

  • ・予約システムの導入による荷待ち時間削減
  • ・共同配送による積載率向上
  • ・モーダルシフト(トラックから鉄道・船舶への輸送手段の転換)
・・・など

これらの取り組みは中長期計画として文書化し、実施状況について定期的な報告が必要になります。
そのため、各企業の物流特性に合わせた実効性のある施策を選定し、数値目標を設定することが大切です。

「2026年問題」によって懸念される課題とは?

「2026年問題」の課題として挙げられるのが、コスト上昇と業務負担の増加や、ドライバー不足と物流ネットワークの再編です。

コスト上昇と業務負担の増加

「2026年問題」では、物流の効率化や法令対応が求められるため、企業にとってはコストの上昇と業務負担の増加が大きな課題となります。

たとえば、共同配送やモーダルシフトの導入には、新たなシステム投資や調整コストが発生します。CLOの選任や、物流改善計画の策定・届出といった法的対応にも人的リソースが必要です。

また、貨物重量の届出義務や納品時間の見直しなど、荷主と運送事業者の間での情報共有や調整業務も増加し、現場の負担が高まることが予想されます。

これらの対応を怠れば、行政指導や取引先からの信頼低下といったリスクも生じるため、コストと業務量の両面での備えが不可欠です。

ドライバー不足と物流ネットワークの再編

「2024年問題」ではドライバーの労働時間が規制され、「2026年問題」ではドライバーの慢性的な人手不足がさらに深刻化すると予測されています。これにより、従来のような長距離輸送や深夜配送が困難になり、物流ネットワークの再編が避けられない状況です。

具体的には、中継輸送の導入や地域ごとの配送拠点の再配置、幹線輸送とラストワンマイルの分業化などが求められます。こうした再編はルート変更以外にも、運送事業者・荷主・倉庫業者が連携して、新たな物流体制を構築する必要があります。

物流業界が行うべき「2026年問題」の対策

「2026年問題」を迎えるにあたり、物流業界が行うべき対策は次の5つが挙げられます。

  1. 1.共同配送モーダルシフトによる効率化
  2. 2.労働環境の改善と多様な人材の活用
  3. 3.荷主企業と物流事業者の連携強化
  4. 4.「AI」や「IoT」などのデジタル技術を活用する
  5. 5.サステナブル物流の推進

共同配送モーダルシフトによる効率化

2026年問題への対策として、物流業界では共同配送とモーダルシフトの活用が重要視されています。
共同配送は複数の荷主が配送ルートや車両を共有することで積載率を高め、ドライバーの負担軽減と輸送効率の向上を図る手法です。

一方、モーダルシフトはトラック輸送から鉄道や船舶への切り替えを促進することで、長距離輸送の安定化と環境負荷の低減を実現します。これらの取り組みは、法改正により荷主にも効率化の責任が課される中で、持続可能な物流体制を築く鍵となります。

労働環境の改善と多様な人材の活用

「2026年問題」への対策として、物流業界では労働環境の改善と多様な人材の活用が不可欠です。
長時間労働の是正に向けて、荷待ち時間の削減や休憩施設の整備など、現場の働きやすさを高める取り組みが求められています。

また女性や高齢者、外国人労働者など、従来の枠にとらわれない人材の受け入れを進めることで、慢性的なドライバー不足の緩和につながります。

働き方の柔軟化と職場環境の整備は、持続可能な物流体制の構築に向けた重要な一歩です。

荷主企業と物流事業者の連携強化

荷主企業と物流事業者の連携強化も、「2026年問題」への対応には不可欠です。
納品時間の調整や積載効率の向上、共同配送の実施など、現場の実情に即した協力体制を築くことが求められます。

特に荷待ち時間や空車率の改善には、荷主側の理解と協力が不可欠です。情報共有や業務設計の段階から連携することで、持続可能な物流運営が可能になります。

法改正により荷主にも責任が課されるなか、対話と協働が今後の鍵となります。

AIやIoTなどのデジタル技術を活用する

「2026年問題」への対応策として、AIやIoTなどのデジタル技術の導入が重要視されています。
AIを活用すれば、配送ルートの最適化や需要予測が可能となり、限られた人員でも効率的な運行が実現可能です。

IoTによる車両や荷物のリアルタイム管理は、遅延やトラブルの早期発見につながり、現場の負担軽減にも寄与します。これらの技術は、物流業務の可視化と自動化を進めることで、ドライバー不足や業務負荷の課題を根本から改善する手段となります。

サステナブル物流の推進

「2026年問題」を見据え、環境負荷を抑えたサステナブル物流の推進が重要視されています。

具体例としては、次を参考にしてください。

  • ・CO2排出量の少ない輸送手段への切り替え
  • ・再生可能エネルギーを活用した倉庫運営
  • ・エコドライブの徹底
・・・など

また、モーダルシフトや共同配送の導入により、輸送効率を高めつつ環境負荷を軽減する取り組みも進んでいます。これらは単なる環境対策にとどまらず、企業の持続可能性や社会的評価にも直結する、経営課題と言えるでしょう。

まとめ

物流業界の「2026年問題」は、特定荷主に対する法的義務の強化を通じて、業界全体の構造改革を促す重要な転換点です。

車両運用や業務設計の見直しに加え、AIやIoTなどの技術活用、荷主と物流事業者の連携強化が不可欠となります。

持続可能な物流の実現には、業界全体が一体となって課題に向き合う姿勢が求められています。

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