2021.10.14

飲酒対策

飲酒運転防止のために運転者が実践すべき効果的な飲酒対策とは

目次

多発する飲酒運転に対して厳罰化が進む日本ですが、飲酒運転や飲酒に伴う事故は定期的に発生しています。飲酒運転を撲滅するためには徹底した法的整備と同時に運転者本人の防止意識が大切です。

 

ここでは、運送業界関係者など日常的に運転が必要な方に向け、飲酒運転を取り巻く状態や、運転者が意識しなければならない防止対策をご紹介します。

飲酒運転の定義

道路交通法では「飲酒運転等の禁止」について以下のように明記されています。(※一部抜粋)

 

第65条 第1項

何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。

 

第65条 第2項

何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、車両等を提供してはならない。

 

第65条 第3項

何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供、又は飲酒をすすめてはならない。

 

第65条 第4項

何人も、車両の運転者が酒気を帯びている事を知りながら、当該運転車に対し、自己を運送する事を要求、又は依頼して車両に同乗してはならない。

 

〈参考〉

警視庁 飲酒運転の罰則等

 

 

飲酒運転には2つの定義が存在します。どちらも飲酒運転に違いはありませんが、道路交通法では明確に条件が分類されています。

酒気帯び運転

呼気中に含まれるアルコール濃度が1リットルあたり0.15mg以上である状態で車両を運転すること。アルコール濃度が0.25mg以上の場合、より厳重な行政処分が下される。

酒酔い運転

呼気中のアルコール濃度に関わらず、酒に酔った状態で車両を運転することに支障をきたしている状態。視覚や平衡感覚、言動などから判断される。アルコール濃度が0.15mg以下であっても酒酔い運転に該当することもある。

酒気帯び運転の罰則

酒気帯び運転が発覚した際の処分は呼気中のアルコール濃度によって異なります。

 

 

違反点数

行政処分

刑事罰

酒気帯び運転

0.15mg以上~0.25mg未満)

13

90日間の免許停止処分

3年以下の懲役または50万円以下の罰金

酒気帯び運転

0.25mg以上)

25

免許取り消し処分および2年の欠格期間

 

 

また、酒気帯び運転による摘発に止まらず、酒気帯びの状態で人身事故を引き起こした際には、より重い罰則が適用されます。

 

危険運転致死傷罪

アルコールの影響により正常な運転ができない状態での人身事故

死亡事故:1年以上20年以下の懲役

負傷事故:15年以下の懲役

 

アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態での人身事故

死亡事故:15年以下の懲役

 

負傷事故:12年以下の懲役

過失運転致死傷罪

危険運転致死傷罪が適用されない場合でも、人を死傷させた人身事故

7年以下の懲役もしくは禁錮又は100万円以下の罰金

飲酒運転の現状

日本国内における飲酒運転の現状は、道路交通法違反件数の推移によって把握することができます。内閣府は車両等の道路交通法違反取締り件数をHPで公開しています。資料によると、令和元年中における酒酔い・酒気帯び運転の取締り件数は約2万5,000件となっています。

 

そして、令和元年中の飲酒運転による交通事故数は3047件であり、そのうち死亡事故は176件です。飲酒が引き金となった死亡事故の原因では、呼気1リットルあたりのアルコール濃度が0.25mg以上の酒気帯び運転者の存在が最も多いことがわかります。

 

飲酒運転が原因となって引き起こされる交通事故や死亡事故の件数が年々減少傾向にあることは事実です。しかし、死亡事故率に目を向けると飲酒運転による死亡率は飲酒なしの交通事故に比べ非常に高く、飲酒運転の危険性があらためて浮き彫りになる結果を示しています。

 

〈参考〉

警察庁 みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」

飲酒運転による死亡事故件数の推移

 

内閣府 道路交通秩序の維持

飲酒運転防止の具体的対策

厳罰化が進む飲酒運転ですが、法律による罰則はあくまでも事後処理です。飲酒運転防止のためには運転者自身が高い危機意識をもたなければなりません。具体的な飲酒運転防止に関する対策をまとめました。

飲まない宣言を行う

友人や知り合いとお酒を提供している飲食店などに出向く際には、自分が車を運転する事実を伝え、はっきりと飲まない意思を示す事が重要です。

 

また上述の通り、現行の法律では飲酒運転をした本人に留まらず、飲酒を進めた者や車両を提供した者、同乗者にも罰則が科せられます。自分や周りのためにも明確な意思表示を行いましょう。

飲酒運転の正しい知識を持つ

飲酒運転は法的罰則だけでなく仕事や社会的な信用、状況次第では人命も奪いかねない危険な行為です。飲酒運転の当事者になる事を想定し、具体的な飲酒の定義や法的罰則内容、実際に起こった事故の経緯や裁判の判例を正しく把握し、車両運転時の行動責任を自覚しなければなりません。

アルコールの影響を過小評価しない

アルコールは人体に様々な影響をもたらします。飲酒によって血中のアルコール濃度が増加すると知覚や運動神経が鈍り、記憶にも支障をきたすようになります。体質によってアルコールの影響には個人差がありますが、飲酒下において自身の状態を正確に判断することはできません。飲酒が人体に及ぼす影響の有無に関わらず、少量でもアルコールを摂取した場合には絶対に運転してはいけません。

運転代行を使用する

運転代行とは、飲酒や体調不良などにより運転が困難になった運転者の車両運転を代行する有料サービスです。代行運転サービスのスタッフが運転者と車両を目的地まで運びます。タクシーとは異なり運転者と車両を同時に運ぶ事が可能です。想定外の飲酒時や、飲酒後に車両を移動させる必要がある場合などに便利なサービスです。

公共の移動手段を利用する

無理に車両を使用する必要がない時や、有料の駐車場や友人宅など飲酒後に車両を駐車できる環境が整っている場合には、公共の交通機関を利用しましょう。

周囲の人間の意識として

酒気帯び運転の防止には運転者本人の意識だけでなく、周囲の人間の関わり方も重要です。車両の運転者と飲酒を共にする際には以下の点に注意しましょう。

運転者に飲酒を勧めない

車両の運転者や運転の可能性がある者に飲酒を勧めてはいけません。運転者本人だけでなく、飲酒を勧めた者も罰則の対象となる事実を理解しておきましょう。

飲酒者に運転させない

飲酒した者に運転を依頼する行為や車両を提供する行為も厳禁です。むやみに運転を駆り立てるような言動は避けねばなりません。

 

酒気帯び運転は法律違反であり違反すると厳罰が科せられます。万が一、酒気帯び状態で事故を引き起こせば取り返しのつかない事態を引き起こす可能性もあるでしょう。

 

酒気帯び運転防止のためには運転者本人や周囲の人間の高い意識が必要不可欠です。「飲んだら、乗らない」を徹底し、飲酒運転撲滅を目指しましょう。

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