2023.07.15

運送業界

運送事業に必要な資格は?開業や就労に関わる資格を紹介

運送業界には、様々な関連資格があります。事業にとって必要不可欠な資格はもちろん、スキルアップやキャリア形成に有利に働く資格など様々です。

運送業界で働く上で必要になる資格の数々。この記事では、貨物運送事業に的を絞り、必要な資格の概要や取得方法について解説します。

目次

開業に必要な資格の存在

貨物運送自動車事業は、貨物自動車運送事業法により3種に大別されています。

それぞれの事業を始める際には運送業許可が必要であり、法律で定められた要件を満たさなければなりません。

要件の中には、特定の資格を保有する従業員の存在が含まれています。

事業の種類 事業内容 資格の有無
一般貨物自動車運送事業 有償で不特定多数の荷主から仕事を受ける 必須資格あり
特定貨物自動車運送事業 有償で特定の荷主からのみ仕事を受ける 必須資格あり
貨物軽自動車運送事業 軽自動車を用いて、有償で不特定多数の荷主から仕事を受ける 資格は必要なし

貨物運送業に必要な資格の種類

貨物自動車運送事業の中でも、一般および特定貨物自動車運送事業を始める際には、必要不可欠な資格があります。

運行管理者資格

事業所や営業所に所属する運転者(ドライバー)は、法律に則った安全運行が義務付けられています。運転者の安全運行(勤務時間の管理や業務中の運行管理など)を担い、指揮系統の中心的役割を果たす存在が運行管理者です。
 
運行管理者の配置は、法律で定められた義務です。運行管理者制度に基づき、貨物自動車運送営業所や事業所の規模に合わせて、所定の人数を配置しなければなりません。

運行管理補助者資格

運行管理者をサポートする役割を担います。補助者の権限や業務の範囲はあらかじめ定められており、運行管理者の代理業務を行えるわけではありません。

整備管理者資格

主に営業所や事業所で使用する車両や車庫の点検や整備、作業計画の策定や管理を行う者です。営業所および事業所一箇所につき、一人の整備管理者の選任が必要です。

法令試験合格資格

一般および特定貨物自動車事業を始めるためには、国が定める法令試験の受験義務が生じます。法人であれば役員の一人、個人事業主であれば本人が受験します。
 
開業に必要なその他の要件を満たしていても、法令試験に合格しなければ事業を始めることはできません。

各資格の取得方法

上述した4つの資格を取得するためには、然るべき手順を踏む必要があります。具体的な資格の取得方法をまとめました。

運行管理者

運行管理者資格を取得する方法は2つです。

 

①運行管理者試験に合格する

公益財団法人運行管理者センターが実施する試験に合格することで、運行管理者資格を取得できます。試験は年に2回行われ、自動車運送事業における1年以上の実務経験を有している者、もしくは運行管理者基礎講習を受講している者に受験資格が与えられます。
 
〈参考 公益財団法人運行管理者センター

 

②実務経験における要件を満たす

事業用自動車の安全運行に関する業務について、一定の実務経験を有する者には運行管理者資格が与えられます。具体的な基準は、以下の通りです。

一定の実務経験の定義:「運行管理の実務経験5年以上、運行管理講習の受講を5回以上(基礎講習1回を含む)」
 

運行管理補助者

運行管理者基礎講習を受講し、修了者に対して資格が与えられます。基礎講習は3日間連続で、合計約16時間行われます。講習の受講会場は、下記サイトから確認可能です。
 
〈参考 国土交通相 自動車総合安全情報 講習認定機関一覧

整備管理者

整備管理者の資格要件は以下の2つです。

 

①自動車整備士技能検定を取得している

自動車整備士技能検定のうち、「一級自動車整備士」「二級自動車整備士」「三級自動車整備士」のいずれかの資格を有している者が、整備管理者として選任されます。
 
自動車整備士技能検定とは、自動車の整備技術向上を図るために創設された検定です。試験は受験資格を有する者による学科と実技によって行われます。
 
〈参考 一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会

 

②実務と研修における要件を満たす

対象は、点検や整備に関する実務経験を2年以上有する者、および整備管理者選任前研修の修了者です。研修は、営業者や事業所を管轄する地方運輸局で行われています。

法令試験合格資格

一般および特定貨物自動車事業を始めるために必要な、法令試験の合格資格です。運送事業の許可申請を行う過程で試験を受験することになります。
 
法令試験は、許可申請が受理された日以降に各地方運輸局で実施(試験は隔月)されます。詳細は各都道府県の運輸局公式HPをご確認ください。

運送業で便利なその他の資格

貨物運送事業に役立つ資格は様々です。以下に、業界で働く上で便利な資格をご紹介します。

特殊車両自動車免許

普通免許の資格だけでも貨物運送業界で働くことはできますが、特殊車両免許を取得しておけば仕事の幅が広がります。「準中型」「中型」「大型」などの車両は運送業界での需要が高く、有資格者は重宝されるでしょう。

倉庫管理主任者

倉庫の管理に関わる資格です。内部の安全作業や労務管理に携わります。規模の大きな運送事業所では、自社倉庫を保有している場合があります。

運送業に関連して倉庫業を運営する際には、原則として倉庫ごとに倉庫管理主任者が必要になります。
 
〈参考 一般社団法人 日本倉庫協会

危険物取扱者

消防法に基づく危険物を取り扱える資格です。「甲種」「乙種」「丙種」の3種から成り、ガソリンやアルコール類、引火性液体などの危険物を運搬する際に必要な資格です。
 
〈参考 一般財団法人 消防試験研究センター

消防設備士

施設内に設置されている、消防設備の点検・整備を行うための資格です。資格には「甲種」と「乙種」があり、類ごとに取り扱える設備が限定されています。
 
〈参考 一般財団法人 消防試験研究センター

資格を取得するメリット

運送業に必要な資格取得には、多くのメリットがあります。

運送業界に仕事を得やすくなる

運送業に必要不可欠な資格はもちろん、需要の高い資格を取得している人材の採用率は高くなります。取得条件の厳しい資格を所持していれば、就職・転職活動において有利に働くでしょう。

昇給に繋がる

特定の資格には、資格手当が支給される可能性があります。資格手当とは、業務に関わる資格所有者に対して支払われる手当です。
 
手当の有無や具体的な基準は企業により異なりますが、資格取得時の「合格報奨金」や、基本給に上乗せされる「資格手当」などが一般的です。

独立・開業しやすい

将来的な独立・開業を視野に入れている方にとって、資格取得は大きなメリットです。

運送事業の開業には、運行管理者や整備管理者など、法律で定められた資格保有者の確保が必要不可欠です。自ら資格を取得していれば、新たに人材を確保する必要はありません。

まとめ

運送業界で働くために必要な資格は様々です。開業には4つの資格取得が必須であり、資格取得者がいなければ事業を始めることはできません。

また、従業員として運送事業に従事する際には、役立つ資格取得が優位に働くでしょう。これから運送業界を志す方は、自身の目的に合った資格取得を目指しましょう。

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