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2024.02.29

運送業界

「物流」と「運送」は違う? それぞれの特徴や配送・運輸・運搬の定義について解説

主に物流業界で使用される「物流」と「運送」という表現の違いをご存知でしょうか?混同されがちな2つの表現には、明確な違いがあります。業界に興味のある方にとって、知っておきたい物流と運送の定義。

この記事では、物流と運送の違いや特徴、派生するその他の用語について解説します。

目次

物流の定義

物流とは「物的流通」の略語であり、企業が商品を消費者に届ける過程を示す表現です。物流と定義される業務範囲は、車両を使用した移動作業だけに留まりません。
 
具体的には、生産者から拠点(倉庫など)への商品搬入、在庫の管理・加工・梱包、出荷作業まで、発生するすべての工程全般(一連の流れ)を総称して「物流」と定義されています。
 
商品を移動するための手段は様々であり、航空機や船舶を利用した方法も用いられ、状況や環境に応じて変化します。国内の代表的な物流企業としては、ヤマトホールディングスや日本通運などが挙げられます。

物流を構成する5つの要素

物流は、大きく5つの要素で構成されています。一般的に「5大機能」と呼ばれている内容をまとめました。

輸送 モノを運ぶ機能。トラックや鉄道・航空機などを用いた長距離移動作業
                           保管 商品を一定期間保管する機能。商品の安全や品質、価値を維持した状態で保持する作業
                           荷役 商品を積み込んだり、降ろしたりする機能。物流センターなどへの入出荷も該当する
                           包装 商品の梱包機能。商品の装飾や品質維持機能。段ボールなどを用いた頑丈な荷造りの場合には「梱包」と表現される
流通加工 商品価値を高めるための機能。消費者負担を減らすための、物流センターや店舗における箱詰めなど

Logistics(ロジスティクス)との物流の違い

英語でロジスティクスと表現される「物流」ですが、日本国内では分けて考えられています。ロジスティクスとは、本来ある物流機能を高度化(生産・調達・販売・回収などの機能を追加)し、さらなる需要と供給の適正化を図る仕組み自体を指しています。
 
出来上がった仕組みを表現する「ロジスティクス」に対し、商品を管理する一連の流れが「物流」なのです。

運送の定義

発生する作業工程全般を「物流」と定義することに対し、車両を用いて商品や物を運ぶことを「運送」と定義します。物を運ぶための手段は様々ですが、移動手段として航空機や船舶を用いる場合には「輸送」と定義され、運送には該当しません。
 
具体的な運送行為には、物流センターや工場などの拠点から出荷された商品や物を目的地まで運ぶ作業などが該当します。日本国内ではトラックを用いた方法が主流であり、運送の根幹を担っています。

運送業は物流業なのか?

物流業とは、物の生産と消費までの過程に発生する流通作業です。物の管理から運ぶ作業すべてを業務とします。対して運送業とは、トラックなどの車両を利用して物を運ぶ業務のみを指しています。
 
物流業の中には、トラックや航空機、船舶を用いて商品や物を運ぶ運送も含まれています。広域な意味において、運送業は物流業の中に含まれると解釈できます。

配送・運搬・運輸とは

物流業界には、「物流」と「運送」以外にも様々な用語が使用されています。混同しがちな用語の意味をまとめました。

配送

配送も輸送に違いありませんが、近距離における小口の移動のみに限定した移動を「配送」と呼びます。物流センターや営業所・小売店を拠点として、地域の企業や消費者宅へ物を届けることが主な目的です。
 
小口配送は、複数箇所に物を送り届けなければなりません。業務には小回りの利く小型〜中型のトラックや、軽ワンボックスカーが使用されます。

運搬

特定の物を別の場所へ移す行為です。最終的な目的地まで運ぶ意味は含みません。特定の限られた範囲内で行われる移動に対して使用されることが多く、運搬機などの重機を用いた作業などが該当します。

運輸

「運輸」とは、人や物を運ぶ行為です。トラックなどの車両を用いて物を運ぶ「運送」に対し、運輸はすべての輸送機関(車両・航空機・鉄道・船舶など)を利用して人や物を運びます。
 
運送との明確な違いは、運ぶ対象に人が含まれている点です。輸送手段により、陸送や空送船送などと表現されます。
 
表現による定義の違い

 
 
 
                             物流
     輸送 すべての移動手段を用いた長距離移動
     運送 車両を用いた中・長距離移動
     配送 複数箇所に物を届ける近距離移動
     運搬 物を特定の場所へ移動
運輸 すべての移動手段を用いて「物」と「人」を移動
 

運送・配送における重要事項

一概に物流といっても、業務の特徴に合わせた定義が存在することがお分かりいただけたと思います。中でも「運送」と「配送」業務は、中小企業などにおいて多くの比重を占めています。これらの業務を円滑に行う上で必要になる重要事項についてまとめました。

出荷作業

出荷作業とは、注文に従って確保した商品を梱包した上で、然るべき移動手段(運送や配送の場合には車両など)に積み込むまでの一連の工程を指します。出荷作業の後には「運送」や「配送」があり、この工程を経て商品は消費者の元へ届けられます。
 
出荷の具体的な工程
 

  1. 1.受注:消費者からの注文
  2. 2.出荷登録:在庫を管理している倉庫などのシステムに出荷作業の開始指示を送る工程
  3. 3.在庫確認:在庫の取り置き
  4. 4.ピッキング:在庫の確保
  5. 5.検品:商品の状態の確認
  6. 6.梱包:商品の梱包
  7. 7.仕分け:商品を配送会社や発送地域ごとに分類
  8. 8.発送:配送業者や発送部門に引き渡す

進捗管理

進捗管理とは、業務をスケジュール通りに進めるための管理体制です。「運送」「配送」中の車両にも、然るべき管理が必要です。現在では多くの物流・運送業者が、専用のクラウドサービスなどを運用した位置情報や配送進捗・状態を可視化するシステムを導入しています。
 
適切な進捗管理システムにより、事業者側はドライバーの状況をリアルタイムで把握できます。最新のシステムでは、スマートフォンや専用のハンディ端末などと組み合わせて使用することもでき、運送・配送サービスの向上やコスト削減に役立っています。

運送・配送トラブル防止には

出荷作業と進捗管理は、円滑な運送・配送の維持に欠かせない業務です。万が一、出荷作業中や進捗管理中のミスは、直接的に運送・配送に悪影響を及ぼします。
 
商品の入れ違えや破損、誤配送に配達の遅延など、出荷作業や進捗管理ミスが招くトラブルは様々です。円滑な運送・配送業務を継続するためには、上述したクラウドシステムの導入などを推進し、業務トラブル防止に務める努力が欠かせません。

まとめ

物流業界で使用される用語は様々です。どれも似たような表現ですが、厳密には異なる意味を表しています。物流業界への就労に興味がある方は、それぞれの用語の持つ意味を理解しておきましょう。

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